フェムコア研究所

骨盤底・尿漏れ

膣のゆるみが気になるとき:原因、自分でできること、美容婦人科の選択肢

フェムコア研究所 編集部公開 2026.10.19約16分で読めます

障子窓のそばで静かに座る女性
Photo: Ricko Pan / Unsplash

この記事でわかること

  • ゆるみの感覚は、出産・加齢・閉経にともなう変化で起こること
  • まずは骨盤底筋トレーニング。婦人科で骨盤臓器脱がないか確認する方法も
  • 腟レーザーなどの施術は自由診療で、研究はまだ限られていること
目次
  1. 「膣のゆるみ」は医学的にはどんな状態?
  2. なぜゆるみを感じるのか
  3. 自分でできること
  4. 何科に、どんなときに行く?
  5. セルフケア・機器・医療機関の違い
  6. よくある質問
  7. 参考文献

「膣がゆるい」「締まりが弱くなった気がする」という感覚は、医学的には「腟弛緩(ちかん)」と呼ばれ、主に経腟分娩、加齢、閉経にともなう骨盤底や腟の組織の変化で起こります。泌尿器・婦人科外来の調査では、受診した女性の2〜4割ほどが自覚していると報告されており、珍しいことでも、本人のせいでもありません。まずは骨盤底筋トレーニングが一つの選択肢で、尿漏れや「何かが下がってくる感じ」がある場合は婦人科で骨盤臓器脱などがないか確認してもらうのが安心です。腟レーザー・高周波・膣縮小術は自由診療で、効果の研究はまだ限られています。


「膣のゆるみ」は医学的にはどんな状態?

「ゆるみ」は医学用語ではなく、本人が感じる感覚を表す言葉です。英語の医学論文では「vaginal laxity(腟弛緩)」と呼ばれ、主に次のような訴えを指します。

  • 性交時の感覚が以前より弱くなった、と本人またはパートナーが感じる
  • 腟の入り口が広がったように感じる
  • 入浴後に腟からお湯が出てくる、タンポンが抜けやすい
  • 尿漏れや、腟に空気が入って音がする

なお、日本の医学用語では「腟」と書くのが正式ですが、一般には「膣」の字もよく使われます。この記事では読みやすさのため両方を使います。

どのくらいの人が感じている?

英国の泌尿器・婦人科(ウロギネコロジー)外来を受診した女性2,621人の質問票調査では、38%が腟のゆるみを自覚しており、出産回数、骨盤臓器脱の症状、腹圧性尿失禁、性交時の感覚の低下と関連していたと報告されています(Campbell ほか, 2018)。

別の外来調査(1,051人)でも23%が腟のゆるみを訴え、経腟分娩を経験した人は帝王切開のみの人に比べて約3倍訴えやすく、その影響は主に1回目の出産によるものと考えられると報告されています(Gillor ほか, 2024)。

どちらも「体の悩みで受診した女性」を対象にした調査のため、一般の女性全体の割合とは異なる可能性があります。それでも、同じ悩みを持つ人が少なくないことは数字からわかります。

なぜゆるみを感じるのか

腟は、周りを骨盤底筋(骨盤の底でハンモックのように臓器を支える筋肉)と、筋膜・靭帯などの結合組織に支えられています。ゆるみの感覚は、主に次の変化が重なって起こると考えられています。

1. 出産(経腟分娩)

赤ちゃんが産道を通るとき、骨盤底筋や結合組織は大きく引き伸ばされます。多くは時間とともに回復しますが、筋肉の一部が傷ついたり、腟の入り口(腟口)が広がったままになったりすることがあります。前述の調査で、経腟分娩の経験とゆるみの訴えが関連していたのはこのためと考えられています。

2. 加齢

年齢とともに筋肉量やコラーゲンが減り、骨盤底を支える力も少しずつ弱くなります。

3. 閉経

閉経でエストロゲン(女性ホルモン)が減ると、腟の粘膜が薄くなり、ひだが少なくなり、うるおいも減ります。こうした変化は「閉経関連尿路生殖器症候群(GSM)」と呼ばれ、日本の女性を対象にしたオンライン調査(1万人)では44.9%が該当したとの報告があります(関口, 日本性科学会雑誌)。GSMでは乾燥や性交痛が中心ですが、感覚の変化としてゆるみを感じる人もいます。

4. 骨盤臓器脱が隠れていることも

腟のゆるみを訴える人の多くに、診察で骨盤臓器脱(膀胱・子宮・直腸などが腟の方へ下がってくる状態)が見つかるという専門医の指摘があります(Chaikof ほか, 2020)。骨盤臓器脱の主な症状は「腟に何かが下がってくる感じ」「小さなボールの上に座っているような感覚」「性交時の違和感」「尿漏れ・残尿感」などです(NI Direct)。

大切なこと: これらは出産や年齢による体の自然な変化です。「自分が何か悪いことをしたから」「努力が足りないから」起こるものではありません。


ヨガマットの上で座って呼吸を整える女性
Photo: Kira Severinova / Unsplash

自分でできること

骨盤底筋トレーニング

骨盤底筋トレーニング(いわゆる膣トレ、ケーゲル体操)は、最も手軽で費用のかからない方法です。

わかっていること

  • 尿漏れ(尿失禁)については研究が豊富です。31件のランダム化比較試験(女性1,817人)をまとめたコクランレビューでは、腹圧性尿失禁の女性で「治った」と答えた人がトレーニング群56%、対照群6%と報告されています(Dumoulin ほか, 2018)。
  • 産後の女性を対象にした小規模な研究では、骨盤底筋トレーニングで3か月後に骨盤底筋の筋力が向上したと報告されています(Villani ほか, 2025)。

わかっていないこと

  • 「腟のゆるみの感覚そのもの」に対する効果を、きちんと比べて調べた質の高い研究はまだ少ないのが現状です。筋力が上がることと、ゆるみの感覚が変わることは同じではありません。
  • 効果の出方には個人差があり、全員に同じ結果が出るわけではありません。

基本のやり方(一例)

  1. 仰向けで膝を立て、お腹・お尻・太ももの力を抜きます。
  2. 尿やおならを我慢するように、腟と肛門のまわりを「内側・上の方へ引き上げる」イメージで締めます。
  3. 5秒ほどキープして、同じ時間かけてしっかりゆるめます。
  4. これを10回、1日3セットほどを目安に、数か月続けます。

息を止めたり、お腹に力を入れていきんだりしないのがポイントです。正しく締められているか不安な場合は、婦人科や骨盤底リハビリを行う理学療法士に確認してもらう方法もあります。

機器を使う方法

自宅用の機器には次のようなものがあります。

  • 腟内センサー型トレーナー:腟に入れたセンサーで締める力を測り、スマホのアプリで確認しながら練習するもの
  • 腟コーン(ウェイト):重りを腟内に保持して練習するもの。前述の産後の研究では、振動つきコーンと通常のトレーニングで骨盤底筋の筋力の改善に差はなかったと報告されています(Villani ほか, 2025)
  • 座るタイプのEMS機器:電気刺激で筋肉を収縮させるもの

機器は「正しく続けるための補助」と考えるのが現実的です。腟のゆるみの感覚に対する効果はいずれも十分に確立されていません。商品の「締まる」といった表現をうのみにせず、使用上の注意を確認しましょう。

生活習慣で気をつけたいこと

骨盤底に負担をかけるものとして、慢性的な便秘やいきみ、長引く咳、体重の増加、重い物を持つ動作などが知られています(NI Direct)。できる範囲で負担を減らすことも、骨盤底を守る一つの方法です。


何科に、どんなときに行く?

相談先は婦人科、または女性泌尿器科(ウロギネコロジー)です。次のような場合は、美容目的のクリニックより先に、一般の婦人科で診察を受けることをおすすめします。

早めに受診したいサイン

  • 腟に何かが下がってくる感じ、触れるふくらみがある
  • 咳やくしゃみでの尿漏れ、残尿感、頻尿がある
  • 不正出血、強い痛み、においの強いおりものがある
  • 性交痛や腟の乾燥が続いている
  • 産後1年以上たってもゆるみや違和感が強い

骨盤臓器脱や尿失禁、GSMは保険診療で検査・治療できるものがあります。たとえば骨盤臓器脱にはペッサリーや手術、GSMにはエストリオール腟錠などの選択肢があります(関口, 日本性科学会雑誌)。内診に抵抗がある場合は、女性医師の有無を事前に問い合わせてもよいでしょう。


セルフケア・機器・医療機関の違い

選択肢費用の目安研究の状況主な注意点
骨盤底筋トレーニング無料尿失禁には多くの研究。ゆるみの感覚への研究は少ない正しいやり方で数か月続ける必要
自宅用機器数千円〜数万円ゆるみへの効果は確立していない使用上の注意を守る
腟レーザー1回1.5万〜5万円程度の例主に閉経後の症状で研究。偽治療と差がなかった試験もある自由診療。複数回が前提のことが多い
高周波・超音波(HIFU)など数万〜30万円程度の例偽治療と比べた試験はあるが、研究の質は全体に限定的自由診療。やけど・痛みなど
膣縮小術(注入・切開)注入は1本5.5万円〜、切開は30万円台の例質の高い研究は乏しい自由診療。性交痛・感染・再手術など

※費用は下記の公開ページに掲載された一例で、施設・時期・内容で大きく異なります。いずれも保険が使えない自由診療で、診察料・麻酔代などが別にかかることがあります。

腟レーザー(CO2レーザー、エルビウムヤグレーザーなど)

腟の粘膜にレーザーを当て、組織の反応を促すことを目的とした治療です。日本では主に閉経後の乾燥・性交痛(GSM)に使われており、ある病院の広報誌では1回15,000円(腟のみ)、腟と外陰部のセットで30,000円と掲載されています(相模原協同病院)。

エビデンスについて: 閉経後の腟の症状がある女性85人を対象に、レーザーと偽治療(実際には照射しない)を比べたランダム化比較試験では、12か月後の症状の改善に有意な差はなかったと報告されています(Li ほか, JAMA 2021)。腟のゆるみに対する効果は、さらに研究が限られています。

高周波(ラジオ波)・HIFU(高密度焦点式超音波)

熱エネルギーで腟の組織を温めることを目的とした治療です。

エビデンスについて: 閉経前の女性155人を対象に、高周波治療と偽治療を比べた試験(VIVEVE I)では、6か月後に「ゆるみがない」と答えた人の割合が治療群で高かったと報告されています(Krychman ほか, J Sex Med 2017)。一方、高周波治療の研究をまとめた系統的レビューでは、6件・196人の研究はいずれもバイアスのリスクが高く、結果は慎重に解釈すべきとされています(Amuchategui ほか, 2024)。

費用の一例として、TAクリニックの公開ページでは「膣ハイフ」が通常価格で70,000円(腟の手前1/3)〜297,000円(ダブル)と掲載されています。同ページには、リスク・副作用として腫れ、赤み、熱感、やけど、痛み、感染などが記載されています。

安全性について知っておきたいこと

米国食品医薬品局(FDA)は2018年7月、腟の「若返り」や美容目的でのエネルギー機器(レーザー・高周波など)の使用について、安全性と有効性が確立されていないとして注意を呼びかけました。報告された有害事象には、腟のやけど、瘢痕(傷あと)、性交痛、慢性的な痛みなどが含まれています(IUGA/Medsafe)。

膣縮小術(注入法・切開法)

  • 注入法:ヒアルロン酸や自分の脂肪を腟の壁に注入する方法。TAクリニックの公開ページでは、ヒアルロン酸が1本55,000円〜154,000円、脂肪注入は採取・作成代148,500円+注入149,600円と掲載されています。リスクとして腫れ、内出血、しこり、左右差、感染、まれに血管の閉塞や組織の壊死などが記載されています。ヒアルロン酸は時間とともに吸収されます。
  • 切開法:余分な粘膜を切除して縫い縮める手術です。TAクリニックの公開ページでは「膣口縮小術 切開法」が330,000円(実施院限定)と掲載されています。

エビデンスについて: 米国産科婦人科学会(ACOG)は、美容目的の女性器の手術について「有効性を支える質の高いデータが不足している」ことを患者に伝えるべきとし、痛み、出血、感染、瘢痕、感覚の変化、性交痛、再手術の可能性について説明するよう求めています(ACOG Committee Opinion 795, 2020)。また、骨盤臓器脱の症状が隠れている場合もあるため、骨盤底の専門的な評価が大切だという専門医の指摘もあります(Chaikof ほか, 2020)。

美容婦人科で相談してみたい方へ

体への負担や費用、リスクについて医師から直接説明を聞いてから考えたい場合は、カウンセリングで相談する方法もあります。カウンセリングを受けたからといって、施術を決める必要はありません。

クリニックを選ぶときのチェックポイント

国民生活センターによると、美容医療サービスの相談件数は2022年度に3,709件と、過去5年で最多でした。「今日決めれば割引」「モニター価格」などで即決を迫られるケースもあり、同センターはその場で契約・施術しないこと、リスクや副作用を事前に確認することを呼びかけています。

相談先を選ぶときは、次の点を確認しましょう。

  1. 診察をしてくれるか:骨盤臓器脱や尿失禁、GSMなど、保険診療で対応できる状態がないかを確認してくれるか
  2. 説明が十分か:施術の内容、効果の限界、研究の状況、リスク・副作用、ダウンタイムを具体的に説明してくれるか
  3. 費用が明確か:総額(麻酔代・薬代・再診料など)を事前に書面で示してくれるか
  4. アフターケアがあるか:トラブル時の連絡先、再診の体制が決まっているか
  5. 即決を迫らないか:当日の契約・施術を強くすすめられたら、一度持ち帰って考える

医療広告のルール(厚生労働省)では、体験談やビフォーアフター写真での誘導、「他院より優れている」といった比較は制限されています。自由診療の情報には、通常の治療内容・費用・主なリスクや副作用を示すことが求められています。こうした情報がきちんと載っているかも、選ぶときの目安になります。

困ったときは、消費者ホットライン「188」で最寄りの消費生活センターに相談できます。


ヨガマットに座ってストレッチをする女性の後ろ姿
Photo: Avrielle Ali / Unsplash

よくある質問

Q1. 出産していなくても膣がゆるくなることはありますか?

あります。経腟分娩は大きな要因の一つですが、加齢や閉経によるホルモンの変化、慢性的な便秘や咳、体重の増加なども骨盤底に影響します。気になる症状が続くときは婦人科で相談してください。

Q2. 骨盤底筋トレーニングはどのくらいで効果が出ますか?

尿漏れの研究では、数か月続けて評価されることが多いです。ゆるみの感覚については研究が少なく、効果の出方には個人差があります。3か月ほど続けても変化を感じない場合や、正しくできているか不安な場合は、婦人科や理学療法士に相談するとよいでしょう。

Q3. 腟レーザーや高周波は保険が使えますか?

膣のゆるみを目的とした腟レーザー、高周波、HIFU、膣縮小術は、いずれも保険が使えない自由診療です。一方、骨盤臓器脱や尿失禁、GSMと診断された場合は、保険診療で受けられる治療があります。

Q4. 小陰唇縮小とはどう違いますか?

小陰唇縮小術は、外側にある小陰唇(ひだ)の大きさや形を整える手術で、腟の内部のゆるみとは目的が異なります。こすれによる痛みなどで相談されることがありますが、これも自由診療で、出血・腫れ・左右差・傷あとなどのリスクがあります。TAクリニックの公開ページでは両側88,000円〜と掲載されています。美容目的の女性器の手術全般について、ACOGは有効性の質の高いデータが不足していると指摘しています。

Q5. 恥ずかしくて婦人科に行けません。

腟のゆるみや尿漏れの相談は、婦人科ではよくある内容です。予約時に「骨盤底の相談」「尿漏れの相談」と伝えるだけでも大丈夫です。女性医師を希望する場合は、事前に問い合わせてみてください。


参考文献

この記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、診断や治療の代わりになるものではありません。症状が続く・強い場合は医療機関を受診してください。費用は記事作成時(2026年10月)に各公開ページで確認したもので、変更されている可能性があります。

内容の最終確認:2026.10.19。誤りに気づいたらお問い合わせからお知らせください。